一般社団法人 なかとんべつ観光まちづくりビューロー 統括本部長 蓮尾 純一さん
魅力を観光で発信。誇れる町へ
個性もサービスとする自由な社風
町の観光部門を担う。仕事は多種多様
なかとんべつ観光まちづくりビューローは、中頓別町の観光資源を活かして観光客誘致を行い、豊かな地域づくりにつなげることを目的として2018年に設立された一般社団法人です。代表理事は小林生吉町長。観光部門の事業を町から委託を受けて行っていて、その業務は多岐にわたります。
道の駅「ピンネシリ」の運営、ピンネシリ温泉ホテル望岳荘やコテージ・キャンプ場の運営、町の特産品であるなかとん牛乳の製造も行っています。町の自然を活かしたアウトドアアクティビティプログラムや、近隣市町村の小中学生を対象にしたそうや自然学校のガイド業務もしています。
従業員は現在約20名。多岐に渡る現業務に加え、令和3年度からの新規事業などもあるため、まだまだ人手が必要です。アウトドアのガイドやサポート、ホテルの調理員、牛乳の製造、施設管理業務など、さまざまな仕事があります。どの仕事も特別な資格は必要なく、特別なスキルをもった人もそうでない人も大歓迎。「経験の有無を問わず、興味をもってもらえたらそれで十分です。まだできて間もない法人なので一緒に成長していきましょう」と蓮尾統括部長。「どの仕事もそれぞれにやりがいがあると思いますが、お客さんの声がすぐに返ってくるものが多いですね。感動や感謝の言葉をいただくというようなことに喜びを感じて仕事をしてもらえたらと思っています」。
やる気のある人に、自分のペースで
やりたい仕事を選べるほかに、フルタイムでもパートタイムでも、長期でも短期でも、勤務日数や時間も選べます。「基本的にどの仕事もシフトを組んでやっています。うちは家庭と家族を優先する社風としているので、事情があれば自由に休んでいただいています。その分は周りが補ってシフトを回します」。時間外勤務もしないように常日頃からスタッフに言い渡しているそうです。男女も年齢も国籍さえも全く問題にしないという、かなり革新的な勤務・採用環境。こんなありがたい職場はそうそうありません。
住まいは近くの町営住宅を利用でき、近接するピンネシリ温泉ホテルの大浴場も自由に利用することができます。初めは嘱託という形で雇用し、1年後ぐらいから正社員として働いてもらうようにしているといいます。
観光とは歴史や文化を発信すること
蓮尾統括本部長は中頓別の観光についてこう考えます。中頓別には美しくのびやかな自然と、砂金掘りという壮大で独特な歴史があります。砂金掘りの歴史などは、北海道が移住者を増やすのにすごく重要なファクターであり一大産業でした。けれど町の人がそのことをあまり理解していなく、自分たちの町の歴史や文化にあまり誇りをもっていない。「観光っていうのは、基本的にその土地の歴史や文化をどんなふうに見せていくかが中心になっていくんです。とってつけたようにアウトドアスポーツやキャンプを推しても人は来ない。砂金掘りも豊かな自然も、『文化』です。だけど町の人の多くはそれに気づいていない」。
そこで令和3年度からは、町民向け、町の子どもたち向けの体験イベントも開催する予定です。その手伝いも、新しく来るスタッフに手伝ってほしいと考えています。
人を活かし、活かされる職場に
そのほか、「食彩工房もうもう」で毎月マルシェを開き、地元の方が採った野菜や山菜を販売したり、新開発商品をお披露目したり、町民向けのアウトドア体験、どのような法人か町民の人たちに見てもらう日をつくったりと、新しい試みはさまざまあります。
「事業もスクラップ&ビルドを繰り返しながら組み立てています。新しいスタッフのいろいろなアイデアも活かしていきたいと思います」。どのイベントも長く継続するうちに町民に理解され楽しんでもらえるようになることを蓮尾統括本部長は望んでいます。
この町ならではのもうひとつの魅力は「人」であると蓮尾統括本部長は言います。さまざまな趣味的生活を楽しんでいる人がいたり、砂金掘りの名人がいたり。お年寄りのなかにも個性豊かな面白い人物がたくさんいる。こういった方々を拾い上げ、観光に結びつけることができれば、なんとも魅力的な旅先になるのではないか。「そうした滞在型の観光を通じて、中頓別の魅力を、歴史や文化とともに発信していくことが大事かなと思います」。それはいずれ季節移住や定住につながるアプローチにもなるかもしれません。「交通の便も決してよくないし、気候的にも住みやすいかといったら決してそうではない。でもそれを超える魅力はたくさんあり、それを理解している人たちが移住してくれているという実績もあります」。もちろんスタッフの個性も、町の魅力のひとつとなります。
「自由な社風なので、自分の個性を十分に発揮して磨いてもらえたら。何より楽しんで仕事をしてもらえる方に来ていただきたいです。観光はサービス業なので、自分が楽しまないとゲストも楽しむことができません」。できることは無限大。同法人は中頓別の魅力を掘り起こすとともに、スタッフの力をも引き出す場所になることが大いに期待されます。