株式会社 KUWAHARA 代表取締役社長 桑原 守孝さん

太古からの贈り物「貝化石」
ポテンシャルは無限大

数千万年前のミネラル豊富な地層の上にある中頓別

 太古の昔、中頓別町は海の底でした。数千万年の時を経て、貝や海藻などが海底に堆積し、それがゆっくりと隆起して「貝化石」の地層を形成しました。
 貝化石の地層は8000万年を超える最古層から6層に分かれており、1番新しい1000万年ほど前の「中頓別層」と呼ばれる層には、60数種もの豊富なミネラルが含まれています。中頓別鍾乳洞もこの地層にあり、全国的にも珍しい鍾乳洞で北海道の天然記念物に指定されています。
 貝化石自体は全国各地にあり、カルシウムが豊富なことから、土壌改良のため土に混ぜて利用されたり、家畜や養殖魚類にも飼料に混ぜて使われています。
 中頓別町の貝化石は、他の地域の貝化石と比べてもミネラルが豊富に含まれているということが、帯広畜産大学の中野益男名誉教授の長年にわたる研究によりわかりました。

企業誘致で採掘・利用に参入

 この貝化石層の存在は、一部では知られていましたが、なかなか採掘や利用には至っていませんでした。2017年に企業誘致という形で参入したのが、北海道富良野市で産業廃棄物処分や解体工事、生コンクリート打設などを行っている富桑工業株式会社でした。富桑工業株式会社の社長でもある桑原守孝さんが株式会社KUWAHARAを設立。中頓別層のある山と廃校となった農業高校の跡地の一部を購入し、工場を建設しました。「これほど良質な貝化石にはもう出会えないだろう。」と桑原社長は言います。
 工場では、地層から採掘した貝化石を200枚の鉄板の上で天日乾燥させ、重機で砕いた後、機械乾燥にかけ、粉砕器でさらに細かく砕き粒径別に土壌改良用、飼料用に分別し100%貝化石のまま販売しています。こうした乾燥や商品化の方法などは、創業後試行錯誤を繰り返してたどり着きました。
 試供品として利用していただいた方からは、牛の餌に混ぜれば生乳の脂肪分が高まった、肉牛では軟らかく良質な肉になったというお声や、個人的に使ってもらっている農家からは、使わなかったところに比べて明らかに作物の成長具合が良くなったというお声もいただいています。

無限の利用法、効果的に使うためには

 土壌改良や飼料以外の使い道として、製造時に発生する貝化石の微粒子を丁寧に回収し、入浴剤や基礎化粧品、サプリメントとして製造、販売することを計画しています。
 その第1歩として、同社の100%中頓別貝化石を用いて、岐阜県の製薬会社が製造した入浴剤を小樽の会社が販売。中頓別町のふるさと納税返礼品に加える話が進んでいます。また福井県の会社では、同社の貝化石をはじめとする自然エキスを配合した基礎化粧品を開発。クラウドファンディングを利用して開発を進め、「JIBUN SALON」というブランド名でインターネット販売を始めました。貝化石のこうした利用は、全国的にも珍しいものです。今後、同社で生産した入浴剤を富桑工業で販売する計画もあります。そのほか、壁材に混ぜて使用すると調湿や臭いを吸収する効果も望めるなど、利用方法はまだまだ無限大にありそうな貝化石。効果的なPR、販路の開拓など課題はいろいろありますが、まだ始まったばかりです。年に3000~4000t採っても100年採れるほどの資源があるそうで、「時間をかけて中頓別の貝化石を効果的に使っていきたい」と桑原社長は意気込みます。


現在、事務関係を担ってくれる社員を募集中。これから中頓別町に住んでみたいという方でも、会社で町内に数棟の賃貸住宅を所有しているので住まいも安心です。この町に眠る、太古のロマン。より効果的に活かすために働いてみませんか。