有限会社 中頓別振興公社 代表取締役 奥村 文男さん

町民憩いの寿公園をはじめ
町の重要な施設を維持・管理

寿公園を守って40年余り

 中頓別町の市街地から国道275号線を浜頓別方面に3kmほど行くとある中頓別寿公園。東京ドーム約2個分、9万3000㎡の広大な敷地に、タコをモチーフにした滑り台や大型アスレチックなどダイナミックな遊具をはじめ、ゴーカートやバッテリーカーなどの乗り物も楽しめる公園です。かつて、中頓別町を通る天北線を走行していたものと同型の蒸気機関車の展示もあり、また、放牧スペースや飼育スペースでは、ポニーやウサギが草を食みながら来園者を出迎えます。ゴルフ練習場やテニスコート、36ホールのパークゴルフ場もあり、幼児から年配の人まで、家族みんなで1日中楽しめる憩いの場です。町内だけでなく、近隣の町村から訪れる人も多くいます。隣接する寿スキー場は、積雪量も多くパウダースノーが楽しめるスキー場として、多くのスキーヤー、スノーボーダーに親しまれています。昭和55年、公園の維持管理・運営にあたる第三セクターとして設立されたのが中頓別振興公社です。

町の施設の管理を受託

 同社は寿公園、寿スキー場以外にも、1999年に建設された一般廃棄物処理施設や、中頓別鍾乳洞自然ふれあい公園、有害鳥獣処理施設など町の施設の運営、維持管理を受託しています。そのほか、野球場の施設管理や国民健康保険病院の清掃業務も行っており、幅広く事業を展開しています。
 一般廃棄物処理施設では、町内から出るごみを回収し再分別してから、焼却、埋め立て処理、資源化するなどの適切な処理を行っています。また、木材や大型家具などは破砕処理後、最終処理施設に運ぶなど、ごみの減量化や再資源化に努めています。
 2015年から有害鳥獣処理施設が運営開始され、有害鳥獣として駆除されたシカなどの動物や交通事故にあった動物の処理を行っています。中頓別町をはじめ北海道では、増えすぎたシカを計画的に駆除しており、この処理施設や同社が担う業務は欠かすことができません。

安全に遊べる公園を維持、そしてより良くするために

 寿公園の開園は5月から10月中旬まで。12月に入ると寿スキー場がオープンし、多くの利用客でにぎわいます。寿スキー場の食堂はスキー客以外の利用も多いそうです。これだけの広大かつ多岐にわたる施設の維持管理は、通年雇用10人、季節雇用9人の社員を各施設に配置して行っています。手が足りないときには持ち場を行き来して、補い合うこともあります。寿公園だけでもシーズン中は、草刈りや芝刈り、園路整備や動物の世話など仕事が絶えません。遊具や乗り物の点検や整備も、怠れば事故につながります。季節雇用社員に空きが出るとその都度募集をかけ、業務が十分に行われるよう努めています。
 「どちらかといえば体を動かすような現場の仕事です。健康であれば年齢関係なしに、どなたでも来ていただければと考えているんですよ」と言うのは、社長の奥村文男さん。社員の平均年齢は60歳を超えていて、最高で78歳。「うち、高齢者歓迎しますので」と笑顔で言います。「経験や資格も問いませんが、強いて言えば街から少し離れているので、通勤のための運転免許証と車が必要なくらいですね」。草刈りの業務では、草刈り機の取扱い講習の受講が必要になりますが、入社後に講習を受けることも可能です。「お客さんに安心して楽しんでもらえるように、施設をより良く管理、維持していきたいですね」。

中頓別の憩いと、快適な生活を担って

 奥村社長は中頓別の出身。7代目の社長となって10年がたちます。「社長っていっても小間使いなんで、あっちが壊れたら行って修繕して……。それがいちばんいいのかな?」にこやかに話します。「タコの滑り台」も自らペンキを塗り直したとか。「かわいがっている公園のポニーを世話するために、休みの日でも毎朝顔を出すんですよ」と社員も微笑みます。事務室にはウサギがのんびり遊び、社長の人柄もあってか、公園同様ほのぼのとした空気が満ちています。「極力気持ちよく仕事ができるような環境づくりをしていきたいと思います」と穏やかに話してくれました。

小さな頃に遊んだ公園で、今安心してわが子を遊ばせることができるのも、清潔で快適に生活ができるのも、振興公社のみなさんが、目に見えないところで日々の働いてくれるおかげだということを、時々思い出したいものです。