北海道宗谷地方に位置する中頓別町は、令和3年時点の人口が1700人程の小さな町です。昭和 25年には7500人超を数えた人口も、少子高齢化や転出により年々減少し、町内事業者の多くでは、後継者不足や繁忙期の人手不足が深刻化しています。こうした問題の解消手段について、町内事業者や町民、役場担当者による継続的な話し合い(中頓別町働き方改革推進委員会)が行われてきました。
様々な対策方法を検討する中、令和2年6月に地域産業の担い手確保を目的とした新しい法律が施行され、全国各地で「 特定地域づくり事業協同組合 」が設立されました。そこで、中頓別町働き方改革推進委員会でもこの取り組みに注目したところ、「 組合が町民や町外から来た人を職員として雇用し、様々なサポートをしながら繁忙期の人手不足に悩んでいる町内事業者にマルチワーカーとして派遣できるのではないか 」との意見で一致しました。
事業者によっては繁忙期の人手は不足しているものの通年で人を雇う余裕がない場合があります。また、都市圏からのアクセスの悪さや買い物の不便さなど地方で暮らすことへの不安から、近年では事業者が独自に職員を確保することが難しくなっており、これらの対策方法として令和2年12月、組合設立に向けた取り組みを開始しました。
画像|中頓別町特定地域づくり事業協同組合 創立総会の様子
令和3年1月から実施した町内事業者への聞き取り調査の結果、組合を利用したいという意向が予想以上に多いことがわかり、中頓別町での組合設立が正式に決定しました。その後、利用意向のある町内事業者へ詳細なヒアリング、所管庁への問い合わせなどを行いながら中頓別町に合わせた運用のルールづくりに着手しました。人材派遣や労働に関する法律などから、マルチワーカーとして働く職員に対して積極的なキャリアアップを支援できるよう、また、町内事業者が利用し難いと感じないよう、職員と事業者双方に配慮した運用のルール作りを目指しました。
定款や事業計画、収支計画などを作成した後、令和3年10月に町内事業者に対して組合設立説明会を開催しました。数多くの事業者に出席いただき、説明会後は13事業者が組合への参加を表明しました。翌月には創立総会及び理事会を開催、組合の設立認可申請や法務局への登記申請も無事終了しました。組合の事業開始予定の令和4年4月までいよいよ2か月少しとなりましたが、北海道労働局や北海道庁などへの申請、職員の採用などやるべきことはまだまだあります。町内の事業者の皆様と共に一つずつ進めていきたいと思います。