株式会社 小頓別木材 代表取締役 鈴木 正樹さん

森の恵み、豊かな針葉樹を
無駄なく利用するために

町に必要不可欠な木工所

 林業は酪農業と並ぶ中頓別町の基幹産業。最盛期には、中頓別町内にも複数の木工会社がありましたが、安価な輸入木材が入ってきたことや後継者の問題などから、ひとつまたひとつと姿を消していきました。現在まで残っている木工所であり、町に必要不可欠な存在が小頓別木材。JAS認定の木工所として建築資材の製造・販売をはじめ、住宅の建築、新巻鮭用の魚箱の製造、端材を利用した割箸の製造などを行っていますが、中頓別町には、おためし暮らしという短期移住体験ができる住宅がいくつか用意されていますが、その中のひとつである「なかとんべつ住宅」も同社が建設しました。
 昭和58年創業の同社は、近隣で産出されたトドマツ、エゾマツを製材し、建築資材として枝幸町にある同社の販売所で販売。札幌方面にも出荷しています。鈴木正樹さんは2代目社長、父の鈴木馨さんも現役で一緒に仕事をしています。

木材も建築も、注文は増えるばかり

 丸太で仕入れた木材は、まず樹皮をむき、機械で角材や柱などにして、機械でカンナをかけます。梱包も機械が行いますので、職員は機械に入れたり、移動させたりといった作業を行います。
 以前は木材を乾燥させて出荷していました。安価な輸入木材が乾燥材だったため、そちらが主流となっていたからです。しかし、同じように乾燥材を出荷しても安価な輸入木材に価格で勝負することができず、やればやるほど赤字に。そこで、小頓別木材では木材を乾燥させない生材を出荷しようということになります。乾燥材が主流であったため、生材を買ってくれる取引先を探しました。「その方向転換があったから、今でも会社が続いているのでは」と鈴木社長は言います。現在では、コロナウィルスの影響で輸入木財の入荷が難しいこともあり、注文は増える一方という状況。道外からも販売してほしいとの話もくるほどです。

常に丁寧な仕事を

 魚箱の製造では、主に贈答用の新巻鮭に使用されています。新巻鮭とは、鮭を塩漬けにしたもので、お正月に食したりお歳暮の定番となっていたりと、北海道や東北では馴染み深い食べ物。最近では、新巻鮭を購入する人が少なくなったり、他資材にとって代わったりという理由から、木の魚箱の注文数は少なくなってきています。贈答用としての需要は根強く残っており、昔ながらの文化を守ることにつながっています。
 10年ほど前、端材を活用できないかとのことから、端材を利用した割り箸の生産がはじまりました。安全・安心な地元産の割り箸は、中頓別町にある「道の駅ピンネシリ」や道内外さまざまなところで販売されています。端材だけでなく、樹皮や集塵機で集めたおがくずも利用。これらは農家に販売し肥料として使われます。森の恵みには、捨てるところはありません。
 一般住宅の建築は、口コミなどで直接依頼がくることがほとんど。「田舎なんでね、一度へんな話が出れば仕事も来なくなります」と鈴木社長。仕事の手は決して抜かず、お客様の立場にたった丁寧な仕事を常に心がけています。「支障が出たときにはすぐに直しに行くなど、アフターケアもちゃんとしています」。

経験はなくとも、意欲のある人材を

 小頓別木材では、季節職員の募集を行っています。冬はあまり建築の仕事がなく、また冷え込むと製材機械の油圧も動かなくなってしまう土地柄のため、冬は工場が休業となります。およそ3~12月の季節雇用となります。「建築現場か木工所、どちらでも大丈夫です。その人の性格に合う場所で働いていただければ」。どちらも経験がなくても、一から仕事を教えてもらえるとのこと。資格も、入社時に特別な資格は必要なく、機械操作など業務上必要が生じれば、講習の受講などで取得することもできます。機械化が進んでいるので体力もさほど必要ではなく、現に女性スタッフも働いています。「ずっと続けてくれる、意欲のある人であれば大歓迎です」と鈴木社長。社長もとても気さくで、楽しそうな職場環境です。


 丸太が積み上げられ、木の香りに満ちた木工所では、創業当時からの木造の建物に大がかりな機械とそれを操る人たちが働いていました。樹皮やおがくずにまで利用価値がある木材。古くから中頓別町を支える豊かな森の恵みに、触れることができる職場です。